別荘、ログハウスに関する知識。

北欧スタイルの別荘

■サマーハウス

 日本で別荘というと、軽井沢 別荘など、限られたお金持ちの持つ贅沢品のイメージがあるのではないでしょうか。北欧のサマーハウスは、誰でも気楽に持つことの出来るセカンドハウスといったところではないかと思います。一家に一台車を所有するのと同じように、ほとんどの家庭が一家に一軒所有しているのです。サマーハウスは親から子へ、子から孫へと代々受け継がれるものが多く、家庭によっては築200年〜300年の建物をサマーハウスとして使用しているところもあるほどです。そのため水道はなく、お手洗いも外の汲み取り式などというところも少なくありません。しかし、長い年月を経て出来上がった家の温もりを感じながら過ごせるということも、北欧の人々はサマーハウスの魅力だと考えているのです。外の井戸から汲んだ水を大切に使用して、食器を洗う際にも水を必要以上に使わない洗い方をするなど、昔ながらの生活を楽しみながらサマーハウスでの時間を過ごすのです。また、北欧のサマーハウスは住居からそれほど離れていないことが多く、気軽に行き来出来るのも私達日本の別荘と比べても文化の違いを感じるところです。
 夏が近づくと、週末のたびに庭の手入れや壁のペンキ塗り、フェンスの修理などに出かけ、夏を過ごす準備に取り掛かります。そして修理の合間に森に出かけ散歩をしたり、庭でお茶を飲んだりと気ままな時を過ごすのが北欧スタイル。この夏の準備というのも、北欧の人々にとってはかけがえのない楽しみの一つなのです。そして待ちに待った夏がやってくると、湖の畔など自然の中に身を置き、週末や夏休みを家族と共に心置きなく過ごすのです。また、パーティーを開き友人を呼んでバーベキューをするなど、自然の中での遊びを十分に満喫するのも楽しみの一つです。誰に気兼ねすることなく、ただ静かに自由を過ごすことができるサマーハウスは、北欧の人々にとってなくてはならない存在なのです。

■北欧デザイン

 美しいだけでなく、人間工学的を配慮した使いやすさと生活空間に溶け込むシンプルさも兼ね備えているのが、北欧デザインの哲学です。もちろん、このデザイン方式が別荘にも取り入れられています。シンプルな機能美が世界的に評価される、北欧諸国のモダンデザインですが、今日のように北欧デザインが多くの人々に認められるようになるまでには、さまざまな歴史的変遷があったのです。20世紀初め、厳しい自然環境にある北欧諸国は、産業の工業化などにおいて西ヨーロッパに遅れを取っていたのです。当時の西ヨーロッパでは、ドイツに設立されたバウハウスなどを中心に、芸術と機会産業とを融合させた「機能主義」が一大ムーブメントとなり、影響力を増しつつあった頃です。しかし同じ頃、北欧では単なる概念的な「機能主義」にとどまらない「使いやすさ」と「生活性」を加味した機能美を追及する動きが高まっていったのです。なぜなら北欧の人々は、長い冬には家の中で過ごすことが多く、毎日使う日用品に関しては「美しい」だけでも「使いやすい」だけでも満足できないほど、強いこだわりを持つようになっていたのです。
 そんななか、1920年代になるとデンマーク王立芸術アカデミーに家具科が創設され、初代教授としてコーア・クリントが就任。クリント教授は、ただ美しく装飾された家具ではなく、人間の体のサイズや動作、生活動線などを考慮した家具デザインの普及に努めました。やがてこれが、人間工学に基づく機能美を誇る北欧デザインの礎となり、デンマークはインダストリアルデザインにおける先進国となっていったわけです。
 コペンハーゲンにあるデンマーク工芸博物館では、そうした北欧のインダストリアルデザインの系譜を垣間見ることができます。約250年前に病院として建てられた建物が1890年に博物館となり、さらに1926年、クリント教授によって改装されました。18世紀当時の伝統と20世紀のモダニズムとが融合した、美しい空間に仕上がっています。館内には、世界的に知られる北欧家具デザイナーのポールへニングセンやヴァーナー・パントン、そして20世紀を代表する建築家のアルネ・ヤコブセンなどの小部屋が設けられ、北欧デザイン界を牽引した彼らの作品が持つ世界観を十二分に堪能することができます。また、併設されているカフェには「Yチェア」と呼ばれる椅子のデザインで知られるハンス・J・ウェグナーや、当時は家具素材とみなされなかったスチールをデザインに多用した、ポール・ケアホルムなどが手がけたテーブルやチェアがあります。数々のデザイナーが手がけたそのカフェは、今や憩いの場になっています。
 「美しい生活」とは自然と調和するライフスタイルを示しているように、美しいデザインとは使う者の生活に根差すものです。北欧デザインの系譜をたどっていると、そんな「デザインと人との付き合い方」に対するひとつの答えが浮かび上がってくるように思えます。

Last update:2015/2/25

Copyright (C) 2008 別荘空間. All Rights Reserved.